2012年10月22日月曜日

読書記録

先週に引き続き『プロフェッショナルな修理』。

の、前に。

ちなみにこの読書記録は、研究室の4年生&院生ミーティングで「ネタ」をお互いに共有するために書いています。
ぼく以外の人はデジタルファブリケーションという分野のなかでも「コンピュテーショナル」「ジェネラティブ」「アルゴリズミック」「パラメトリック」「プログラマブル」などといったことばで形容されるような文脈の研究をしている人が多いので、どういう手法を使うとどういったアウトプットが得られるか?といったような「ネタ」が多いのですが、ぼくは「オープンソース」が基本的な研究テーマなので、修士論文を書く際の文脈づくりになるような「ネタ」をここで集めていければと思います。


さて『プロフェッショナルな修理』では今週は第五章『「椅子」の張り直し』と第六章『「自動車」用リビルド部品』を読みました。
自動車部品に限らずいままでの章に出てきた着物や仏壇やパソコンなどもそうですが、プロフェッショナルな場での修理といえば、壊れた部分をちょっととりかえるとかではなくて、一度全部ばらっばらにしてその状態で洗浄し組み立て直すということがよく行なわれるようです。
そういう意味で「リビルド」ということばが使われるのでしょう。

「ネタ」になりそうだな、と思った具体的な情報をまとめておきます。

- 自動車リサイクル法(181ページ 2行目)
2005年1月より施行。
自動車を可能な限り再利用できるよう、設計の段階から考慮しながら開発することが義務づけられた。
ちなみに欧州の自動車メーカーではバンパーに再利用しやすい素材を使うなど、再利用をあらかじめ考慮した設計が以前より盛ん。

→ 「使うためのデザイン」や「売るためのデザイン」ではなく「直すためのデザイン」っていうのは前から興味があったので、法律としてそれが定められているのは興味深いなと思いました。
そういう部分が進んでいる欧州の状況も知りたいなと。


- アメリカで日本車の改造が流行(185ページ うしろから4行目)
それまでの安かろう悪かろうというアメリカでの日本車のイメージを変えた日産フェアレディーZ。
その販売が始まってしばらく経った1980年ぐらいのころ、アメリカで日本車の改造が流行。
その改造に必要なオルタネーター(走行中のエンジンの回転を活用して発電し、バッテリーに蓄電する部品。ダイナモ。)の需要が高まり、自動車裏ビルド部品の生産・販売を手掛けるこの会社が(たぶん)儲かった。

→ 改造の文脈でいうとハーレーダビッドソンが有名ですが、日本車が流行ったこともあったのか。
日本車は安くて性能もよい、っていうイメージがこのころできていたのかもしれない。


- アメリカ人のDIY精神は開拓者精神?(186ページ 1行目)
アメリカ人には自分でつくったり直したりするDIY精神がある。
これは欧州から宗教的な理由等で移民してきた人たち(プロテスタント?)、まったく何もないところから自分で家を建てて開拓を行なったからではないか、と著者は述べている。
アメリカでは現在でも家に大工道具を揃えた作業後やを備えていることが少なくないとのこと。


- 修理も自動化(186ページ うしろから7〜2行目)
「修理」ということばだけ聞くと職人が手仕事で直すイメージだが、それだけではない。
自動車のリビルド部品に関しては、作業は分業化され、工程によっては自動化されたラインやロボットもある。

→ 修理用CNC工作機械とかあったらめっちゃおもろい。
てか、あるのか。どんななのかあんまり想像がつかないので実際に見てみたい。






『プロフェッショナルな修理』がまだ途中なのですが、こっちを読み始めてしまいました。
『民主化するイノベーションの時代』エリック・フォン・ヒッペル。
原題: Democratizing Innovation (MIT Press, 2005)

英語と中国語のpdfはこちらでフリーで公開されています(Creative Commons BY-NC-ND)。
http://mit.edu/evhippel/www/books.htm

ユーザーがイノベーションに大きく関わっている、というオープンソース系ではよく言われることを7年前に、またしっかりとした調査に基づいて証明しようとしてくれている本です。
ちなみにこの本での「イノベーション」の意味は、製品開発ぐらいの意味のようです。

第2章まで読みましたが、いまのところ、
- ユーザーの10〜40%がイノベーションを起こしている
- ユーザーが開発した製品と製品改良の大部分(中でも商業的にもっとも魅力的なもの)は「リード・ユーザー」の特徴を備えている
- 「リード・ユーザー」の特徴は以下。
①市場動向の最先端に位置しているため、現在リード・ユーザーが経験しているニーズは、後になってから市場にいる多くのユーザーが経験することになる。
②自分のニーズに対する解決策を獲得することにより比較的高い効用を得ることが期待できるため、その多くがイノベーションを起こす。
といったことが書かれ、それを実証する調査が書かれています。

観点としてなるほどと思ったのは、「ユーザー企業」と「個人ユーザー」ということばがあるという点です。
ユーザーというのは決して個人だけでなく、たとえばPCという製品を例に挙げればいろいろな企業が「ユーザー企業」と言えます。
1976年Rosenbergは、米国の工作機械業界の歴史を研究して、旋盤やフライス盤といった重要で基本的な機械が、それに対する強いニーズを持つユーザー企業によって最初に開発・構築されたことを発見したといいます。(Rosenberg, N. 1976. Perspectives on Technology. Cambridge University Press.)


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4年生&院生ミーティング終えての追記
田中先生の話。
・Democratizing Innovationが出たとき、イノベーションということばが流行り、大学でたくさんお金を使ってイノベーションを起こそうとしてるところがたくさんあった。
そういう状況に対して、「いやいやイノベーションっていうのはふつうに家庭の台所とかに転がっているんだよ」っていう本。

・ユーザーにイノベーション能力があることはヒッペルの論文でわかった。現在は3Dプリンタやレーザーカッターなどでユーザーにできることが増えて、もはやユーザーというよりはMakerだ。(クリス・アンダーソン)

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